言葉を失ったこと

うつ病になったことは、言葉を失ったということと言い換えることができるかもしれない。
うつ病になると、精神運動抑制があって、頭の中にずっともやがかかっているような状態になる。
今の気持ちを言い表したいけれど、それを言い表す言葉を知っていたはずだけど、それに辿り着けなくなる。
例えば、地点Aから地点Bまで行きたいとき、直線の道路があったのにそこが通行止めになってしまって、迂回しなければならないような。それも次に近い道路も、そのまた次に近い道路も通行止めになってしまっていて、何倍もの時間がかかるような。その一つ一つの道路が、今まで持っていた言葉。

言葉を失ったという言い方は、およそわたしが主語になっている分わかりづらいけれど、実際にはいじめや差別といった外的な営力によるものだ。だから正確にいうならば、言葉を“奪われた”という表現になる。

この社会で生きていくことは、スティグマを持たない人にとっては容易いのかもしれないけれど、社会によってスティグマを付与されたわたしにとっては地獄とさほども変わらない。
戦争のように身体的な暴力を受けているわけではない。けれど差別という暴力に備えた臨戦体制を整えるという緊張を強いられている。戦争とはまた違う地獄にいる。

わたしを苦しめた奴は幸せにならないでほしい。
子どもがいるなら、その子どもは幸せになってほしいけれど、そいつは幸せにならないでほしい。

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